離れて暮らすと決めたのは自分なのに、
最初の頃は気持ちが落ち着かず、
思っていた以上に戸惑うこともありました。
それでも時間がたつにつれて、心の揺れ方が少しずつ変わっていった気がします。
夫と離れて暮らすようになったばかりの頃、
私は今よりずっと気持ちが落ち着かなくて、
会えない時間の意味をいちいち考えていました。
もともと、生活のリズムや田舎の風習に
お互いが少しずつすり減っていくような感覚があって、
単身赴任をきっかけに「少し距離を置いてみよう」と決めたのは私です。
それなのに、いざ離れて暮らしてみると、
想像より寂しさを感じる日もあって、
自分で選んだはずの距離に戸惑うこともありました。
連絡が少ない日が続くと、
「どうしてだろう」「何かあったのかな」と
必要以上に理由を探してしまうこともありました。
そのたびに気持ちが揺れて、疲れる日も多かったと思います。
けれど、時間が経つにつれて、
その揺れ方が少しずつ変わっていきました。
家事をしているときや、母と夕飯を食べているとき、
ひとりで夜を過ごしているとき。
気がつけば、夫の不在を
「特別なこと」として扱わなくなっていました。
寂しさがなくなったわけじゃありません。
でもそれが、生活を左右するほど強い感情では
なくなっていったんです。
夫との距離に慣れたというより、
私自身の気持ちのほうが落ち着いていった。
その感覚のほうがしっくりきます。
最初の頃にあった不安や戸惑いは、
少しずつ形を変えていき、
今は「大丈夫だ」と思える時間のほうが
ゆっくり増えていきました。
思い返せば、
この変化は急に起きたわけではなくて、
毎日の暮らしの中で少しずつ積み重なって
そうなっていったのだと思います。
夫のいる生活から、
私を中心にした生活へとゆるやかに移り変わって、
その中で気持ちの置き場所も変わっていった。
いまの私は、
距離があっても過度に揺れない自分を
ようやく受け入れられるようになりました。
それは強さというほどのものではなく、
ただ「そうなった」というだけの変化かもしれません。
けれど、この距離で続いていく今の夫婦には、
それがちょうどいいのだと思います。
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