一日の終わりに迎える夜の時間が、
いつからか、少しずつ長く感じられるようになりました。
それは、眠るまでの時間が伸びたというより、
誰にも合わせない夜を、そのまま受け取れるようになったからかもしれません。
一緒に暮らしていた頃に使っていた大きなベッドを、
今はそのまま、ひとりで使っています。
少し広すぎるくらいのその場所が、
いまは不思議と、ちょうどよく感じられます。
私は寝るのが好きで、
寝具やベッドまわりには、少しだけこだわりがあります。
枕の高さや、肌ざわりのいい布団カバー。
季節に合わせて、掛けものを変えるのも、
今ではささやかな楽しみになりました。
よく使うものを、手の届くところに置いて、
そのまま横になって、映画を流す夜も増えました。
最初から最後まで見る日もあれば、
途中で眠ってしまう日もあります。
どちらでもいい、と思えるようになっています。
誰かに合わせる必要のない夜の時間が、
いつの間にか、私の中で当たり前になっていました。
「もう少し起きていよう」と思う日もあれば、
「今日は早く休もう」と思う日もある。
その判断を、自分ひとりで決められることが、
思っていた以上に気楽でした。
夜が長くなった、というより、
夜をそのまま受け止められるようになった。
今はそんな感じがしています。
広いベッドに横になって、
静かに更けていく時間の中にいると、
今日のあれこれが、少しずつ遠のいていきます。
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